第6章 意地悪な恋(やんまー)
亮side
どうして俺は
あいつの答えを最後まで聞かずに
手を離してしまったんやろ…?
章ちゃんを傷付けてでも
あかねが欲しかったはずやのに
結局俺がしたことは
章ちゃんに言えない秘密を作って…
抱かれることさえも出来ないように
あとを残して…
ただ俺のわがままをあいつに
おしつけただけやった……
もういい加減あきらめるべきや…
そう頭では分かってんのに
体が嫌やと悲鳴をあげる…
でももうこれ以上はあかん……
あかねをこの目に映すことも
あかねの声に耳をすますことも
もうせぇへん………
そうしたらきっといつか
見えなくても聞こえなくても
それが当たり前になる日がくる……
支払いを済ませた店の外で
地面にまた座り込み
そう必死に自分に言い聞かせてると
そんな俺の肩に手が触れて
「まだ気分悪いの…………?」
なんて声が聞こえてくる……
"もうこの声を探さへん…"
そう今決めたのになんで………?
そう戸惑いながらゆっくりと顔を上げると
俺の目の前には
俺の顔を心配そうに覗き込む
あかねがいて………
「何で…?」
あかねの顔を見つめながら
そう呟いた俺に
あかねは困ったように笑いながら
俺の髪をふわふわと優しく撫でた…