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∞な短編集

第6章 意地悪な恋(やんまー)


安田side

何も見えないふりをして…

何も聞こえないふりをして…


そうすれば

あかねは俺の側におってくれる……。


そうしようと頑張ったけど…

やっぱり無理みたいやわ……(笑)


その証拠に



「ごめんな…あかね……?

ほんとはさっき見ちゃってん…

亮とあかねがキスしてるとこ………?

だから…正直に答えて………?

あかねの心は今どこにあんの……?』



そう言って

ポロポロとこぼれ落ちるあかねの涙を

服の袖で拭うと…


「ごめんな…さい…」


なんて…

やっぱり聞きたくない言葉が

聞こえてくる…………


怖いけど…

もう見ないふりして誤魔化すんは

嫌やから……


「その"ごめんなさい"は…

亮が好きって…ことでええの…(笑)?」



涙をこぼしながら小さく頷くあかねを

もう手放なさなあかんよね……?



でも………



「そんならはよ行き………?

今ならまだ亮あそこにおるんちゃう…?」



そんな必死に強がる自分の声が

震えてんのが解る……



「章太…………?」



そう言って

俺に触れようとするあかねの手を

避けて…


「あかんよ…触ったら……?

今あかねに触れられたら

俺…あかねを離されへんくなるもん(笑)

やから頼むわ……

振り返らんと早く行って…………?」


そう言った俺に



「ごめんね…章太………?

あと……ありがとう……………」


そう言ってあかねは

俺から離れて走り出す…………。



あぁ…もう自分で自分が嫌になる……(涙)



ほんとは……


見ないふりを続けてでも

手放したくなんかなかったのに………



でもそれじゃあ

誰も幸せになられへんもんな………?



俺から大切な人を奪ったんやから

今度亮に会ったら

いじめ倒してやんねん!!



そしてこう言おう……


幸せにならな怒るでって………(笑)
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