第6章 意地悪な恋(やんまー)
あいつは私を好きなんかじゃない…
そう分かってたはずなのに
どうして私は今ひどく
傷ついてるんだろう…?
章太の声が聞こえた瞬間
私の腕を掴んでいた手をあいつは
何の躊躇もなく離した……。
どんな顔で私キスをして
どんなに愛しそうに私に触れても
それは一瞬の幻で
そこには一ミリの愛もない…
そう分かってたのに
突きつけられた事実が
なぜか痛くて仕方がない………
「亮…顔色真っ青やんか…?
大丈夫なん………?」
そんな章太の声がして
「うん…ちょっと
飲み過ぎたみたいやわ…(笑)
ここは俺が支払いしとくから
二人はもう帰ってええよ………?」
そう言ってあいつは
座り込んでいた地面から立ち上がり
私たちに向かって手を振る…
「そうなん……?
じゃあ先に帰るけど
なんかあったら電話してや?」
そう言って私の手を握り
歩き出す章太の後ろで
一瞬だけ後ろを振り返ると
今にも泣き出しそうな顔のあいつと
目が合う………
でももうそんな目に
惑わされて近付いたりはしない…
だから
何か言いたそうに口を開くあいつから
ゆっくりと目をそらし
私は章太の腕を掴み
歩き出した………