第6章 意地悪な恋(やんまー)
あかねside
こんなはずじゃなかった………。
どうして私は今章太の隣じゃなく
あいつの隣にいるんだろう…?
お店の中で斜め前に座るあいつが
ときおり苦しそうに顔を歪めてることに
なぜか気付いてからも…
そんなこと私には関係ない
そう必死に自分に言い聞かせていた…
でもトイレにたったあいつの顔は
驚くほど辛そうで…
なかなか帰ってくる気配のないあいつを
なぜか放っておけなくて
ここに来てしまった……
そこまでは人として仕方ないとしても
あいつに自分からキスをするなんて…
自分で自分が分からなくなる…
"何で……?"
そんなあいつの声に
捕まれていた腕を振り払い
急いで背中を向けると…
そんな私の手を
またあいつは掴んで…
「逃げるな……」
そう力なく呟く……
私の腕を掴むあいつの手の暖かさに
心臓がうるさいぐらいに騒ぎ出す…
「逃げてないよ………?
ただ今のは違う…
だから忘れて………?」
「違うんやったら……
今のは何やねん………?
お前から俺に触れたんやぞ……?
逃げずにこっち見てちゃんと答えろ…
お前…俺のこと好きなんか………?」
そう言って
私の顔を覗き込むんでくるあいつの目に
「私………は……」
そう言いかけた瞬間…
「あれ…二人ともこんなとこで
何してんの…(笑)?」
そんな章太の声に
あいつは急いで掴んでいた私の手を離し
「悪い章ちゃん……(笑)」
なんて章太に向かい笑顔を見せた………