第8章 食戟のソーマ―――四宮小次郎
みずきside
毎年恒例の高等部一年生に課される最初の試練
山奥の合宿所で行われるそれは合格点に届かなければ即退学の合宿
『懐かしいなぁ……』
「そうですねぇ~。みずきちゃんと同い年なら楽しかったでしょうね!」
『そんなことないですよ!私なんて合格ギリギリだったのに!』
あがり症の私にとってプロの料理人に自分の料理を食べてもらうのは恐ろしいことだった
何度も訪れた危機を思い出してため息をつく
「それでも、こうして料理の世界にいる。それは誰にでもできることじゃないわ」
「それが、四宮先輩の店に行っちゃうなんて……!」
「黙れヒナコ」
ギリギリとヒナコ先輩の頭を掴む小次郎
それを苦笑してみていると、小次郎と目が合い肩を抱かれた
「こいつは俺の店で、俺にとっても必要な女なんだよ!」
『……っ///』
私の顔はみるみる赤くなり、関守さんのため息が聞こえる
「みずきちゃん!みずきちゃんは私の店に来る気はありませんか!?」
『えっ……と……楽しそうですけど……私はSINO’Sで働けてすごく幸せなので……』
「何ていい子!やっぱり四宮先輩には勿体無いです!!」
「おい、みずきの話聞いてたか、お前?みずきは俺の店にいたいんだよ」
「言われなくてもわかってますよーだ!みずきちゃんの意思を尊重するんです!四宮先輩のためじゃないですからね!」
「うるせーよ」
『ふふ』
まるでコントのような会話に笑っていると、目的地についた
遠月リゾートが経営するホテルの前についた私たちの前には、これまた懐かしい人がいた
「よく来てくれた。待っていたぞ」
「こんにちはー!」
『お久しぶりです。堂島さん』
「ああ。悪いな、急に来てもらって」
「まったくだ。俺はみずきに店を任せようと思ってたのによ……」
「まぁ、そう言うな。久しぶりの日本だろう?審査のとき以外はゆっくりしていくといい」
堂島さんはそう言い私たちはホテルの部屋を案内された