第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
『忘れ物ない?』
「それ、昨日も言いました。」
『だって心配なんだもの…』
やってきました。
梟谷グループの長期合宿。
合宿の集合時間は去年と同じで学校に6時。
リエーフは赤いジャージを着て、玄関にスタンバイしていた。
今回私は合宿に行けない分、心配で心配でしょうがなかった。
気持ちは初めて子供を旅行に出すお母さんのよう。
「そんな風に言われたら俺、行きたくなくなっちゃいますよ。」
苦笑するリエーフに私はぎゅーっと抱きついた。
『リエーフとこんなに離れるの初めてなんだもん…』
そう言えば、リエーフが私の名前を呼ぶ。
上を向くとリエーフはにこり、笑って私の唇にちゅっと口付ける。
こんなわがまま言っちゃいけない。
わかっているのに、私の口は止まらなかった。
『もっと…』