第9章 【番外編】黒猫と三毛猫2
side莉奈
雨…?
私、いつのまに寝ちゃったんだろう。
目を覚ませば私はセンパイのベッドの中。
雨だと思った音はセンパイがシャワーを浴びている音。
きゅきゅっ。
シャワーの音が止まる。
やだっ!センパイ戻ってくる。
私は壁のほうを向き目を瞑る。
それと同時、がちゃりと音がしてセンパイがお風呂から出てきた。
とくんっとくんっ
おさまっていたはずの鼓動がまた激しくなる。
きしりっ
ベッドがきしむ。
「莉奈…」
低い声で囁かれ体がふるり、震える。
「まだお前のこと、ちゃんと好きなのかはわかんねえ。
でも、少しずつ好きになっていくから。」
小さな呟き。
頬に乗っていた髪の毛がセンパイの指で後ろに流される。
気付いたら私はセンパイの手を掴んでいた。
「お前…今の…」
「センパイの心には誰がいるの?」
掴んだ手に指を絡ませる。
「私、どうしたらセンパイに好きになってもらえる?」
鍛えられたハダカの胸に手を置けばとくり、とくりと心臓の鼓動が伝わってくる。
「会って間もないけど、私、センパイと一緒にいるとドキドキする。
頭撫でてもらえると嬉しいし、キスも嬉しかった。」
首にぎゅっと抱きつき、思いを声にのせる。
「もっとドキドキしたいの。
イケナイ夜遊び……教えてくれるんでしょ?
てつろーさん…」
コクリッ
センパイの喉がなる。
「いいんだな…?後悔しないか?」
こくんと頭を下げる。
ぺしゃりと降りた髪の毛から鋭い目が覗く。
「しない。てつろーさんの事、もっと好きにさせて?」
そう言うと、ふわりと触れる唇。
「俺から離れられなくしてやるよ…」
「望むところです。」
私が笑えば、センパイはくくっ、と笑った。