第9章 【番外編】黒猫と三毛猫2
side黒尾
ガッチガチに緊張した莉奈を机の前に座らせる。
「ほら食べるぞー。」
そう促すと、莉奈は小さくいただきますと言い、スープを飲み始めた。
「…!おいしっ!」
莉奈は俺の方を見て顔をほころばせる。
んなに凝ったことしてねえぞ?
莉奈が飲んだのはもやしをごま油で炒めた後水と中華スープの素と乾燥わかめを入れて最後に卵を回し入れた簡単中華スープ。
ちなみにおかずはピーマンとたけのこと豚肉でチンジャオロース。
あとは春雨ときゅうり、トマト、ハムなど適当に入れて酢と醤油、ごま油で味付けした中華風サラダ。
今日は中華縛りで作ってみた。
莉奈は美味しい美味しいと言いながら俺の作ったおかずをぱくりぱくりと口に放り込んでいく。
なんか美優の気持ちがわかった気がする。
自分が作ったメシを美味そうに食ってもらえるって、なんかいいな。
俺もさっさと食わねえと全部食われちまうな…
俺は箸と茶碗を手に取るとおかずに箸を伸ばした。
ーーーーーー
食器を洗いリビングに戻ればベッドに背中を預けた莉奈は船を漕いでいる。
そうだよな。
初めての合宿だもんな。
マネージャーだって疲れるよな。
俺は莉奈を抱き抱えると布団を剥ぎ、ベッドに寝かせる。
「おやすみ、莉奈。」
すやすやと寝息を立てる莉奈の前髪を指で退かすと、俺はそこに唇を落としそのまま風呂に向かった。