第7章 波乱の7月合宿。
『リエーフの馬鹿…』
食堂までの帰り道、足腰の立たなくなった私をリエーフがおんぶする。
「美優さんごめんなさい…」
まあ、素直に謝ったからいいか。
そう思いながら食堂に入れば…
「美優ー!リエーフ!おっせー!」
木兎と、それに付き合わされたらしい赤葦、蛍の3人。
『ごめん…って、片付けおわってる!』
リエーフに降ろしてもらい確認すれば食器やお鍋は洗われており、ぴっかぴか。
「美優さん戻ってくるまで暇でしたし?なあ、月島?」
「誰かさんたちがナニしてたのかは知りませんが…」
ばれてる。
完全にばれてらっしゃる。
『ほんっとうにありがとうございます。今度埋め合わせするから…』
深々と2人に頭を下げる。
「じゃあ帰ろーぜ?さすがに遅くまで居すぎたわ。」
そう言い木兎はリエーフに声をかけ食堂を出ようとする。
『ちょっと!木兎!クロは⁈』
私クロの車で帰るつもりなんだけど!
そう言えば木兎はくるりと振り返り私にスマホを見せる。
起動されたメッセージアプリにはクロからのメッセージ。
黒尾:用事ができた。
美優連れて先帰ってて。
埋め合わせは後日。
「ってことで送ってやるから。」
にかり、と笑う木兎。
あの後、何かあったかなクロ。
クロが心配だけれど、時間も遅いし今度事情を聞こう。
『お願いします、木兎。』
そう言ったと同時、リエーフの叫び声。
「俺のご飯はー!」
「あ、俺食った。」
あっけらかんと笑う木兎と泣きそうなリエーフ。
ため息をつく赤葦と蛍。
やれやれと苦笑いの私。
さて、そろそろ居酒屋から帰ってきているはずの監督たちに、リエーフの外出許可を取りに行きますか。
私はリエーフを慰めながらみんなを食堂から出すと鍵を閉め、監督たちが泊まる教室へと足を向けたのだった。