第7章 波乱の7月合宿。
お酒で出来上がった猫又監督からリエーフの外出許可を頂き、コンビニまで歩いた後私はリエーフと別れ木兎と2人で木兎の家まで歩いた。
そこからは私の家までバイク。
「車より早え!ツーリングするぞー!」
だそうだ。
なんていうか、木兎らしい。
バイクの後ろなんて初めて乗るから戸惑っていれば、木兎は私の手を引き自分のお腹に手が回るようにさせた。
「振り落とされねーようにしっかり掴まってろよー。」
そういうと木兎はエンジンをかける。
慌てて摑まれば、木兎は掴まっている手にそっと手を重ねた後道を走り出した。
風が体を撫でていく。
景色が次々流れていく。
少しだけ怖くなり木兎のお腹に回した手に力が入った。
「美優、怖えーか?」
フルフェイスのヘルメット越しに聞こえる木兎の大きな声。
負けないように私も大きな声で否定を返した。
ーーーーーー
「着いたぞー!」
私の住むマンションの前。
木兎はヘルメットを脱ぎながら私に言った。
地面に足をつけた私はヘルメットを脱ぎ、木兎に渡す。
『バイク初めて乗ったけど楽しいね!送ってくれてありがとね?木兎!』
そういえば、木兎は私の目を見つめ、言った。
「俺さ、美優のこと好きだった!」
木兎のおっきな手が私の頭をわしゃわしゃと撫でる。
『木兎…?』
…だった?過去形なんだ。
「でも気づいた。俺、リエーフの隣で笑ってる美優が好きなんだわ。
だから、今までみたいに友達でいてくれよ。」
そう笑う木兎。
その笑顔はいつもより少しだけ大人びてて、私はこくりと頷くことしかできなかった。
木兎はそのままバイクにまたがり帰って行った。
私は言えなかった思いをメッセージにして木兎に送った。
太陽みたいにあったかい木兎。
ずっと友達でいてね?
スマホを閉じようとすれば1件のメッセージ。
木兎からの返信かなと思い開いてみれば、クロからで…
黒尾:ツンデレ三毛猫、手なずけた。
お前らさ、声押さえろよ。
丸聞こえだから。
穴があったら入りたい…
むしろ穴掘って埋まりたい。
次、クロに会ったときのことを考え、私は恥ずかしさで頭を抱えたのだった。