第7章 波乱の7月合宿。
寒天を容器に入れ、冷やすところまできたらあとはやることはほとんどなし。
固まるのを待つだけ。
暇になった私はそのまま食堂のお手伝いに行ってきた。
まあ、私が来ることはサプライズらしいので、みんなが食事を取りにくる頃には奥の方で作業をし、できるだけ目立たないようにお手伝い。
昼食が終わったあとは食堂のおばちゃんたちに混ざって昼食の片付けと夕飯の下ごしらえ。
やっぱり、楽しいな。
たくさんの人とご飯作るのって。
「美優、もうすぐ3時だぞ。」
夢中になって作業していれば、クロがわざわざ声をかけに来てくれた。
おばちゃんたちにお礼を言い私は急いで調理室へ。
寒天、全部きれいに固まってる。
ふるふるふるえる寒天を型から外しボウルにいれる。
全てを分け入れた頃、木兎が調理室に乱入してきたのでそのままボウルを抱えながら体育館へと移動をはじめた。
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『こんにちはー!差し入れ持ってきましたよー!』
そう、広い体育館に響くように声を出せば、顔見知りのメンバーたちが私に挨拶をしそのままデザートに突っ込んでいく。
「やったー‼︎音駒のマネージャーさんの手作りー!」
目の前を橙が飛びはねる。
『しょーよー。”元”マネージャーね?』
「うっす!いっただきまーす!」
「また来たんですか…美優さん。」
そう私の元に近づいてきたのは蛍。
手にはやっぱりいちごミルクの寒天を持っている。
『またって言わないでよ、蛍。本当は嬉しいくせに。』
私が蛍にそう言うと、蛍はふいと顔をそらす。
「月島、照れてる。」
そう指摘するのはコーヒーの寒天を持った赤葦。
「お久しぶりです、美優さん。」
『久し振り、赤葦部長?』
からかわないでくださいよ。そう、赤葦は言うと、1秒おいて私を見つめて、言う。
「高校卒業したらますます美人になりましたね。
浮気している恋人なんて放っておいて俺に乗り換えませんか?」
私は赤葦から目をそらし、近づいてくる体を両手で押さえる。
『いや、冗談やめて!赤葦……って浮気…?』
私が聞けば赤葦と蛍が一斉に一箇所を指差した。