第6章 止まらないモヤモヤ。
side灰羽
「センパイ!私、入学式で初めてセンパイを見た時から好きですっ‼︎」
ふるふると震える小さな体。
でも俺は美優さんが好きだから思いには答えてやれない。
俺は腰に巻きついた手を剥がし、目線が合うように莉奈な前にしゃがんだ。
「告白、ありがとな?でも俺、付き合ってる人がいるんだ。
気持ちは嬉しいし、頑張って告白してくれたけど…ごめんな?」
ぽんぽんと頭を撫でると莉奈の大きな瞳が涙で潤む。
「えっ!泣かないで⁈」
今さっき借りたタオルで莉奈の目元を拭ってやると、俺の右手を莉奈がぎゅっとつかんだ。
「知ってます…カノジョさんがいること…すごく仲がいいことも。
それでも大好きなんです…
好きになってもらえなくても近くにいたいんです。」
ぽたり、ぽたりと落ちる滴。
うーん…どうしよう…
そう考えていた時に俺はふと思い出した。
”やきもち”のことを。
莉奈と仲良くなって、そのあとに「莉奈に言い寄られちゃって困ってるんだよね?」って美優さんに言ったら、きっとやきもち妬いてくれる!
そうと決まったら…
「なあ、莉奈。」
俺が声をかければ困り眉毛の莉奈が顔を上げる。
「俺、莉奈のことは好きにならない。
それでもいいなら、友達…になってくれるか?」
そう伝えれば、莉奈はこぼれた涙を拭きながら小さな声で俺にyesの返事をした。