第6章 止まらないモヤモヤ。
side灰羽
長い長い話が終わり、やっと校内見学。
周りは学校の設備に興味津々みたいだけど俺は全く興味ナシ。
まあ、ここで美優さんが勉強するんだなって感じ。
のろのろと進んでいく列の中、やっと見つけた美優さんの教室102号教室!
「本日1年生は教室で基礎の授業を行っています。授業中なので静かに移動、見学をお願いします。」
そう、言われた瞬間俺は急いで美優さんを探した。
いた!
教室の真ん中の列の1番後ろ。
1番目立つ場所に美優さんはいた。
黒板を見る真剣な横顔にどきりとする。
やっぱり俺、美優さんが好きだな。
だってひと目見ただけで顔がにやけるのが止められない。
一瞬でも、勉強してる美優さんが見られてよかった。
でも、もう一回、美優さんが見たい。
俺はもう一度、美優さんのいる教室に目を向けた。
2度目の美優さんの表情は先ほどの真剣な表情から一転。
美優さんは席の周りの人達と話をして笑いあっていた。
その表情はいつも俺に見せる優しい大人びた笑顔じゃなく、無邪気な笑顔。
そう。同い年くらいの男女と冗談を言い合い笑いあう顔。
俺といるときはあんな笑顔見せてくれないなぁ…
つきり、と小さく心が痛んだ。
これってなんだ?
よくわからない胸の痛み。
この痛みを表現する適切な言葉を廊下を進みながら考える。
カノジョが自分には向けない顔を他人に向けるのが嫌…
これってもしかして…ヤキモチ…ってやつ、なのか?
美優さん年上だから、俺が何やってもヨユー…っていうか、俺ばっかりヤキモチ妬いてる気がする。
俺だけじゃなくて美優さんにもヤキモチ妬かせたーい!!!!
そんで、ヤキモチ妬いてる美優さんに「俺はいつだって美優さんが1番だよ。」って言ってもっともーっとらぶらぶになりたーい!
俺、本当はもっと美優さんに甘えてもらいたいし、頼ってもらいたい。
確かに俺、まだまだガキだけど、彼氏だし…
でも…そう思うことってダメなのかな。
くそっ!もやもやする。
結局オープンスクールが終わってからも、その後の美優さんのデートでももやもやは晴れなくて、すごく美優さんが心配そうな顔をしてた。
俺、美優さんのそんな表情が見たいんじゃないんだ。
俺、どうしたらいいだろう…