第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合前夜〜
side月島
灰羽が部屋を抜け出したことは知っていた。多分黒尾さんも気づいてて止めなかったのだろう。
暗闇の中寝返りを打てば、僕の名前を呼ぶ声。
体を起こせば同じく体を起こし、端末の明かりを照らす髪の降りた黒尾さん。
「今からドライブデートしねえ?」
「彼女に怒られますよ?他のやつデートに誘うなんて。」
「うちのカノジョ、ココロが広いんで大丈夫ですー。」
軽口を叩きながら眼鏡をかけコートを羽織ると、ポケットに財布と端末を入れる。
黒尾さんも財布と車の鍵の入ったボディーバッグにを入れると、ダウンを羽織り、ポケットに端末を入れる。
「さあて、どこに行きたいデスカ?」
「とりあえずコンビニ、あとは待ってる間に体が冷えない場所で。」
「お、奇遇。俺も同じこと考えてた。」
「じゃあファミレス行きます?こんな時間じゃ未成年が入れない場所くらいしか空いてないですし。」
「だと、24時間のファミレス…車で10分くらいだな。」
お互いに行く場所を把握すれば、戸を閉める音も静かに廊下を歩き玄関へ。靴を履き外に出ようとするタイミングでポケットに振動。確認すれば先程教えたメッセージアプリのグループに黒尾さんが送ったようで…
美優さん、今頃顔真っ赤にしてそうだな。
そんなことを考えながら僕は夜の街へと足を踏み入れた。