第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合前夜〜
お風呂に入り早めに部屋に戻って明日の準備をしていれば小さなノック音。
『いらっしゃい。』
閉まるドアと鍵がかかる音に顔を上げリエーフと目が合えば、お互いに体を抱きしめあう。
「ん…お風呂上がりだから美優さんの匂いがする。」
『リエーフもいい香り。この匂い好き。』
いつものようにリエーフがベッドに座り私が肩に手を置くと、キスを強請るように顎をあげて私の方を向く。
私しか見られないその表情が好きでこちらから唇を重ねれば、唇が柔らかく解けていく。
何度も唇を重ねて柔らかく食んで。繰り返せば柔らかな唇から舌が触れ、こちらからも舌を差し出せば、優しげなリップ音から滑らかな舌が深く絡む音に変わる。口付けの合間に吐息を溢せば、優しげに体を支えていた手が強く私をかき抱き服越しの熱が触れた。
『りえ…おっきく…』
「ん…ツッキーいると抜けないから…」
口付けの合間にリエーフの長い足が体をホールドしさらに引き寄せる。強まる熱に頬を染めれば、そこに重なる大きな掌。
髪に絡みながら後頭部に回る指がさらに深みへと連れていく。
『っ、ふ……りえ…』
肩に添えた手は項に周り、口内で舌が絡む。息継ぎの間もない口付けに呼吸さえままならず、それが心地よい。
すき
好き
口付けの合間の途切れ途切れの愛
その声が伝わるのか、それすらも紡げないほどに口付けが深まり、擦り付けられる熱も増す。
膝がかくかくと笑う
欲しくてしょうがない
『りえ、』
絡まる舌を柔くひと噛みし唇を離すと体がベッドに押し倒された。
『…して?』
腕に頬を擦り寄せ薄く開いた瞳で見つめると、リエーフの喉が動く。
再びの口付け
の直前にぴろんと端末が鳴る。
キスを中断し確認すればそれはクロからで…
"蛍チャンと夜のドライブデートしてくるから終わったら連絡クダサイ"
と。
数日前に作ったメッセージアプリのグループ内に投稿されているそれは、私たち全員に向けての連絡で…
「黒尾さんたち外行くんすね?」
にんまりと笑う唇に舌を這わせながらスウェットを脱ぎ捨てるリエーフ。逃げようとすれば、腰に回る手が容赦なく私を引き寄せる。
「あんまり待たせるの良くないので2時間以内で。」
にこやかに笑みを浮かべるリエーフが怖くて、思わずお手柔らかにと呟いてしまったのだった。
