第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜
開いた瞼が暗い部屋を映し出す。
何時…枕元に手を伸ばせば充電器に繋がれた携帯電話を手にして確認すれば、時刻は6時を示していた。
休みの朝にしては早い。だからと言って朝ごはんを作ることを考えたら二度寝するような時間でもない。
起き上がり台所に行くと目覚まし用のコーヒーのためにケトルでお湯を沸かす。
その間に昨日寝る前にできなかった掃除を軽くしようとリビングを開けば、いつもよりも低い室温。薄く開かれたカーテンが柔らかくたなびいているのを見つけてそっと開くと、そこには朝日に照らされ柔らかな髪色を輝かせる蛍の姿があった。
『……蛍?』
ベランダの外を見つめていた蛍が私に気づくと、まだ寝ぼけているのか柔らかな笑みを向ける。
「美優さん、おはようございます。」
『寒くないの?』
ベランダ用のサンダルを履き隣に並ぶと唇から白い息を吐く。
「このくらいなら別に。仙台もっと寒いから。」
『そっかぁ、蛍の住んでるところってもっと寒いんだもんね。』
「雪はそんなに降らないんですが乾燥した風がすごくて。まあ、こっちに旅行に来たら案内しないこともないですよ。」
『本当?じゃあ行きたい場所考えておかなきゃね。』
笑みを溢しながら明るくなった街を見つめる。そろそろ中に戻ってコーヒーでも飲もうか。そう思った時に蛍に声をかけられた。
「進路、悩んでて…また、相談してもいいですか。」