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あいつはねこまのわんこ系少年 そのにっ【HQ】

第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜


side月島

髪を乾かし終えた後もダラダラと脱衣所に居座ってから出ると、ちょうど美優さんの部屋から出て来た灰羽と鉢合わせになった。

「美優さん寝た?」
「ん、髪乾かしながらぐっすりだったから、ベッド連れていったらすぐだったよ。」

この時間に力尽きるなんて珍しい。
今までは自主的に部屋へ戻るか、遅い時間に灰羽の側でくらいしかなかった。

「ここまでは珍しいけど、眠いからドライヤーお願いとか、部屋連れて行ってとかはあるよ。」
「それは、君が警戒を解いてもいい相手だって思われてるってことデショ。」

人に対しての警戒心が強い美優さん。不意打ちには弱いけれど、決して弱いところは見せない。そんな人が自宅というテリトリー内だからと言って無防備に寝顔を晒し、体を触られてもその手に自身を委ねるなんてなかった、と思う。

「よかったんじゃない?」

ぽん、と背中を叩き表情を盗み見れば憎たらしい顔がさらに憎たらしいほどの笑顔になった。

本当憎たらしい。
けれど、こいつも嫌いになれない。

「へへ、ツッキーありがと。」
「お礼とかいいし。っていうか早く風呂入ってきなよ。僕眠いから先に寝るよ?」
「わかった。部屋電気消してていいよ。洗濯するものあとない?風呂の間に洗濯機回して干したら寝るから出すなら今のうち。」
「…あと大丈夫。じゃあまかせる。」

僕が寝るためにリビングを離れようとするとエアコンを消しながら一緒に部屋を出る。

「じゃあツッキーおやすみ。」

挨拶をしようと顔を上げ、そして気づく。合宿やここにみんなでいる時とは違う、落ち着いた柔らかな笑み、いつもとは違う笑みに。
この家で警戒を解いているのは美優さんだけではない。そう気づいたら、僕も自然と笑みが溢れた。

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