第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜
『夜は惣菜パーティにします。』
これからお正月まで調理三昧だから3人の時は手抜きがしたい。そう言って大宮駅でお惣菜を買っておいてよかった。ケーキのおかげで体力は少し回復したけれど、流石にもみくちゃにされたのもあり品数を作る気力はあまりないから…
大宮駅で買った惣菜の数々をお皿に盛りリエーフにレンチンしてもらっている間、私は簡単なスープを作る。冷凍のほうれん草と卵を使った中華スープはリエーフも好きだし、前に作った時に蛍も美味しそうに飲んでいたのは知っているから今日はこのレシピに決まり。
レンチン後の惣菜を持ってリビングに向かうリエーフを見送り火を止める。できたスープを器に注いでいればキッチンに顔を出した蛍が私に声をかける。
「ご飯こっちで盛りますか、それとも全部持って行く?」
『こっちでいいんじゃない。私はおかわりしないし、食べたかったら蛍もリエーフも自分で取りに来るでしょ。あ、蛍は手元のいつものお茶碗使って。』
そう伝えれば蛍は定位置にあるお盆と茶碗を取り3人分のご飯を盛っていく。私は一度味見をするとお椀を取るために移動…
「美優さんこれデショ?」
と、蛍がお椀を3つこちらに差し出している。
『…正解。ありがと。』
「取ってって言ってくださいって。僕の方が近いのに。」
『だって、今ご飯盛ってくれてるから…』
お椀を受け取りながら、言い訳がましく唇を尖らせると上がっていた口端が下がる。そしてご飯を盛り終わらせると私に手を伸ばし額を指先で突く。
「そのくらいできるから。子供じゃないんだし。それに美優さんがそれ盛ってくれないと運べないから早くね。」
『ん…』
突かれた額の痛みに手を伸ばし撫でる。その間にもご飯は盛られ、先に行くよ、の声と共に運ばれる。痛みから復活すると蛍と入れ違いに戻ってきたリエーフに急いで盛ったスープを持たせ、カトラリーを持つと私もリビングに移動した。