第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜
『大丈夫だと思うけど、ルールを確認します。』
各々がやることを終えると集合したリビング。テーブルの中心には先ほど購入し、もみくちゃになりながら必死に水平を守り大事に持って帰ってきたケーキの箱と、コーヒーとミルクティーが入ったマグカップ3つ。
持ってきたお皿にそれぞれのケーキを取り分けるとケーキを食べながら話し始めた。
「ルール、っていつも泊まってる時と一緒じゃないんですか。」
いちごショートを口に運びながら首を傾げる蛍に、円柱型のモンブランを食べ進めるリエーフがケーキを咀嚼しながら指を折る。
「んっと、家出る時は必ず声かけるとか風呂ん時は声かけるとか…?」
サクサクのアップルパイを切り分け口に含んだところで問いかけられ、急いで飲み込むとこくこくと頷いた。
『ん…リエーフ正解。蛍はできれば私かリエーフががどこにいるかだけわかるようにしてて。あと、リエーフが言ったように外に出る時は必ずどちらかに言うかメモ、もしくはメッセージアプリに連絡飛ばして。あとは宿題はちゃんとやる、家事は手伝う。とかかな?』
「…わかりました。………洗濯、とかは。」
『全員お風呂入った後にまとめてやるつもりだけど、蛍が嫌なら分けて洗濯するよ?』
「いや、大丈夫デス。」
食い気味の大丈夫にいささか疑問を持つが、多分蛍は理由の説明などしてくれないだろう。何かを察したリエーフは、蛍がいる間の洗濯当番を自ら進んで立候補をした。
『あと質問は。』
2つ目のケーキに手を伸ばした蛍に問い掛ければ、あの、と遠慮がちな声。
「この3人でメッセージアプリのグループ作りません?ひとりひとりにメッセージ送るのも面倒だし…」
…確かに。
なぜ考え付かなかったのだろう。今までは私がリエーフに口頭で伝えれば事足りていたし、蛍以外がいる時は専用のグループがあるから必要性を感じていなかった。
『ありだね。』
「作りました!」
シュポンッ!
私と蛍のスマホから同時に鳴る音。蛍の言葉を聞き素早く動いたリエーフがすかさずグループを作成したようだ。早速確認をすればグループ名に謎の名前。
"チーム弟子"
…私も蛍も苦笑し、リエーフに変更を申し出たのは言うまでもなかった。