第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜
目当てのお店に入れば時間の割にはお客さんもまばらですんなりと席に通してもらうことができた。男子2人を一緒に座らせようと思ったけれど、身長190cm超えの2人が狭いソファ席に2人並んで座れば…うん、やめよう。蛍に椅子を薦める形でリエーフの隣に座るとメニューを取り出す。
リエーフと蛍はすぐに決まる。…そう、リエーフと蛍は。
「美優さんまた?」
「どれが食べたいんですか?」
今回は迷うというより食べ切れるかが心配。先ほど見たお土産が立ち並ぶ通路。気になるものが多くその中には生ものもあったから、帰ったら食べたい…から食事量は減らしたい。
『これの少なめが食べたいけどないもんね…?』
しらす丼を指差し視線を上げると2人がお互いの顔を見る。
「灰羽、僕うどん単品にしようと思ったんだけどミニしらす丼セットにするから好きなの選んで。」
「わかった。俺玄米定食の唐揚げにする。ツッキー他に食べたいのある?」
「じゃあ唐揚げ分けて。美優さんは?」
てきぱきと話が進んでいきこちらに話が振られる。唐揚げが食べたいと伝えればそのまま店員さんが呼ばれた。
牛肉うどんとしらす丼セット、玄米定食の鶏の唐揚げセット、そして単品の唐揚げ。
リエーフが店員さんに伝え終わると椅子から立ち上がる蛍。そのままセルフの水を3人分持ってきて座ればこちらを見て口端を上げた。
「何か不満は?」
『ない、です。』
ない。完璧。私の悩みを解消し、かつ自分たちが食べたいものの注文。そして水まで持ってくる気配り。流石すぎる。
「飯、楽しみっすね。」
「美優さん一人分も食べられないほど胃って小さかった?」
メニューを集め横に添えた後こちらに笑いかけるリエーフに釣られて笑えば、グラスをテーブルに戻した蛍が首を傾げながら問いかけるが、お土産のことを話せば綺麗な蛍の眉間に皺が寄る。
「…また?」
『蛍が好きそうなイチゴのマカロンとか、前に流行ったバターキャラメルサンドもあるよ?』
寄りたい店を指折り数えながらちらりと蛍を見れば、眉間の皺が深くなる。しかし唇にも力が入り少しだけ突き出した姿は素直じゃない拗ねた顔。蛍はショートケーキ以外の甘いものも好きだもんね。
そんな蛍を見ながらくすくすと笑っていれば到着する注文した料理。各個人の前に料理を移動させ両手を合わせると、私たちは目の前のご飯を食べ始めた。