第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜
「美優さん、ツッキー来ましたよ。」
リエーフに肩を叩かれ顔を上げる。
新幹線のホームから降りてきた他より顔一つ分大きなお月様のような髪と黒縁メガネと目が合えば、蛍はゆっくりこちら側に歩いてきた。
『久しぶり蛍。』
「お久しぶりです。すいません、わがまま言っちゃって。」
『嫌だったら断ってるから大丈夫。それに手が増えるからやることも早く終わるだろうし。』
2人挨拶をしていれば、後ろからのしかかってくるリエーフ。
「美優さん、腹減った…」
『ちゃんと朝ごはん食べたでしょ?蛍は朝ごはん食べた?』
リエーフを背中から剥がしながら反対を見れば目を逸らす黒縁メガネ。やっぱり、とため息を吐きながら時計を見れば、やや早いがもうすぐお昼。3人で端の方に寄り駅構内のご飯屋さん情報を調べれば、数点の候補が上がる。
『かにチャーハンに駅弁、コーヒーショップにベーグル…あとは和食か…』
座って食べられないベーグルと駅弁はお土産でいいから却下。コーヒーショップもあんまりお腹は満たせないから却下。
『かにチャーハンと和食かな。蛍はどっちがいい。』
自分に一番に食べたいものを聞いてくれないと駄々を捏ねるリエーフを牽制しながら問いかければ、やはり和食。お腹の空き具合を考えたら私もそっちがよかったから少しだけ胸を撫で下ろす。
改札の近くにあったコインロッカーに蛍の荷物を預け身軽になると、私たちは目的のご飯屋さんへと向かった。