第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合〜
食事を終え、洗い物をしていれば鳴る私の端末。リビングで充電をしているリエーフの端末は鳴ってないから、リエーフには最初から連絡を入れていないのだろう。
急いで手を拭き通話に出れば、私が一番最後らしい。端末の小さな画面に合計6人の顔が映った。
『もしもし。』
「おう美優。あれ、リエーフは?」
『リエーフはお風呂。そろそろ戻ってくると思うけど…』
呼んでこようか、とキッチンから動こうとすれば、蛍からの静止の声。
「灰羽がいなくてもなんとかなるデショ。どうせ美優さんが伝えてくれるだろうし。」
「そうだな。じゃあさっさと始めるか。」
みんなが納得するような声を聞きながらリビングに移動しソファーに座れば、リエーフ不在のまま話が始まった。
「んや、今年の年末年始どうするかなって思ってな。去年みたいに集まれんなら集まりたいし、今年は車出せるから初日の出見に行くとかもできるよなって思って。」
初日の出見てみたいかもと心が疼く。でもまずは泊まりに必要な情報が欲しい。
『もしまた集まるなら、泊まりはいつも通りうちだよね?だと今のところ来られそうなのは?』
画面越しに問い掛ければ、良い返事が来たのは発案者のクロと赤葦、蛍と莉奈ちゃんは親へお伺いを立ててから。リエーフは私がOKしてしまえば巻き込む形になるから…まあ大丈夫ってことで。
『…ってあれ?木兎は?』
いつも真っ先に返事をする木兎の声が聞こえなくて心配になれば、珍しく眉毛を下げ遠慮がちな声でお伺いを立ててきた。
「年越しギリギリにくるのってアリ?」
「まあありだけどよ。予定入ってんのか?」
あら、珍しい。
なんて思えばしょぼくれモードの木兎が理由を説明していく。
「大学のバレー部のお疲れ様会が31日なんだって。オレ絶対出ろって言われちまってさ……でも美優の年越しそば食いてえの。」
大学はサークルとか部活があるんだもんね。特に木兎はバレーのために大学行ったみたいなものだから付き合いも大事。でもお蕎麦も食べたいのかぁ。
「1日は用事もねえから泊まりは大丈夫だし、初日の出も見てみたいんだけどさー。」
しょぼくれ…というより不満げな声に少しだけ悩むと、今考えられる最適案を私は木兎に提案した。