第27章 2回目の誕生日
練習の終わったみんなに別れを告げ、リエーフは一足先に体育館から抜け出した。着替えを終わらせワクワクした面持ちのリエーフが部室から出てくれば、手のひらをリエーフの前に差し出した。その手は大きくて暖かな手のひらにすぐに包まれる。
「お待たせしました。さっきから思ってたんですが今日の洋服も可愛いっす。ふわふわのカーディガンいいっすね。」
今日の洋服はいつもより気合いを入れたデート仕様。可愛くなかったら困っちゃう。
きらきらのお花型のボタンが可愛いふわふわの淡いベージュのカーディガンに、透け感のある黒のレースのハイネックインナーとウエストにタッグのある黒のワンピース。防寒に履いたタイツに合わせたのは黒のチャンキーヒールのローファー。
コンプレックスの身長のせいで元々多かったけれど、最近靴を買う時はヒールの高いものを買うことが増えた。
リエーフと並ぶとどうしても身長差がありすぎるから少しでもその差を縮めたくての悪あがき。でも細身のヒールはバランスを崩しやすいから、歩きやすいヒールが太めのチャンキーヒールがやっぱり多い。
それをわかってくれているからか、リエーフは私に合わせてゆっくり歩いてくれるのが嬉しい。
「今日行く店、楽しみっすよね。場所、どこでしたっけ。」
『今日は池袋。駅からすぐらしいよ。』
駅に到着すればICカードをかざし改札を抜ける。
エスカレーターに乗りホームへ向かえば後ろから肩を突かれる。
そっと振り返ればちょうど目線が合ったリエーフが私の頬を撫でた。
「いつもより気合い入ったメイク、可愛い。」
リエーフを待つまでに塗り直したリップがふにゃりと歪む。そんなことを気にも止めずにエスカレーターを降り私の手を引きホームを歩くリエーフは、途中で振り返ると私と同じくらいになるように体を屈めて微笑んだ。
「俺の誕生日に気合い入れてくれる美優さん、可愛くて好きです。」
見つけられてしまった気合い。
そんなところまで見てくれているリエーフが大好きでそれでいて恥ずかしくて、赤面した頬を隠すように両手で包んだ。