第27章 2回目の誕生日
「あ、美優さん!」
体育館に顔を出せば、いち早く気づいたのは莉奈ちゃん。莉奈ちゃん越しに体育館を見れば今はゲーム中らしい。
今回は3年VS2年。足りないポジションに1年生が入るという形らしい。
陰からこっそり見守っていれば、球彦の上げたトスにリエーフがちゃんとタイミングを合わせてスパイクを打つ。身長の高さを活かした、ブロックより上の打点からのスパイクは何度見ても惚れ惚れとする。
試合なら得点が決まるところだけど、そこは音駒仕様。リエーフの打ったスパイクを福永がフライングしながら綺麗に上げる。弓形に返ってきたボールを研磨のギリギリまで読ませないセットアップで上げ、その先にいた山本がキレキレストレートを炸裂。
それが最後の1点だったようで、試合は終了した。
ドリンクを飲みに一ヶ所に集まり始めたみんな。莉奈ちゃんと一緒にボトルを渡すために体育館へと入ると一斉にみんなの瞳がこちらを向く。
「美優さん!」
「リエーフ、汗っ!」
私を見つけたリエーフが試合をして汗だくでハグをするために飛び込もうとするけれど、私の制止の声で今日の服装に気づいて勢いを殺し、先にタオルを取りに向かった。