第27章 2回目の誕生日
「手、冷えてんじゃねえか。」
じわり。
いつの間にか冷えた指先にマサちゃんの体温が混じる。動揺しすぎて動けないでいると、そんな顔を見たマサちゃんはにまりと笑い私の両の手を自分の頬へと重ねた。
つまり私の手でマサちゃんの頬を包んでいることになる。
先ほどまで職員室にいたのか、温かなマサちゃんの頬に指先は温まるがそれ以上に頬が熱い。
それに気づいているのか、マサちゃんは私の手を頬に拘束しながら私に視線を飛ばす。
「たまにはこういうのもいいだろ。」
『…マサちゃん…意地悪…』
伝わった熱がちりちりと指先を痺れさせ、境界線を曖昧にする。
恥ずかしさで思わず手を引くと、抵抗はなくするりと手が抜けた。
軟く温まった手のひらがじんわりと痺れたような感覚で、そのまま軟く握り込むとマサちゃんが小さく笑う。
「さて、美優のことからかい終わったから、体育館にでも連れてってやるか。」
私に声をかけながらほら、と差し出された手。
また何かされるのではないかと怪しんでいれば、体育館へと繋がる道をマサちゃんが指差す。
「その格好で転んだら嫌だろ?杖代わり。」
確かにそちら側は街灯もなく暗い。体育館からは光が漏れているだろうが、そこまでの道はやや暗い。
一瞬の躊躇はあったが、伸ばされた手にそっと手を乗せるとマサちゃんとは反対の方を向きちらと視線だけを向けた。。
『……体育館、近くなったら離すから。』
「はいよ。」
返事と共に少しだけ強く握られた手のひら。
それに私は軟くにぎり返すと体育館への道をマサちゃんのリードで向かった。