第27章 2回目の誕生日
誕生日当日、授業が終わるとトイレに向かいメイクを直す。普段のナチュラルメイクよりも少しだけ濃いそれは、今日のために増やしたキラキラなお化粧品。
リエーフにもらったネックレスを首に忍ばせると専門学校からリエーフがいる音駒高校に向かう。
下校時刻だからというのもあり、久しぶりの音駒駅からの道ですれ違う、去年まで着ていた制服に懐かしさを感じながら学校まで向かうけれど、リエーフとすれ違うことはない。
結局校門まで到着してしまうけれど、部活終了は19時のためあと1時間は待たなければいけない。流石に中で待つのはと躊躇していれば、先日聞いた声が私の名前を呼んだ。
「美優。」
私を名前で呼ぶ高校関係者なんて1人。
そう、マサちゃんだ。
裏の駐車場に向かうために玄関を出たのだろう。そのまま私を見つけると向かう方向を私の方に変える。
「何して、ああ、灰羽の迎えか。」
『うん、これからデートなの。』
暗くなった校門を照らす街頭の下、マサちゃんは私を凝視するとふわりと笑う。
「ん、確かにな。可愛い。」
髪の毛を崩さないように柔く頭を撫でる手に優しさを感じれば、思わず笑みが溢れる。好きって言ってくれているのにこれからデートなのをちゃんと気遣ってくれるところが嫌いになれない。
「つかここで寒くねえのか。体育館行けばいいじゃねえか。場所わかるだろ。」
『一応遠慮はしてるんだよ。もう卒業生だし。アポ取ってないし。』
「流石に他の先生も何も言わねえよ。お前有名人だし。」
なんて言いながらマサちゃんは私に向かって手を伸ばす。そして抵抗する間もなく手のひらを優しく持ち上げると自分の手で柔く包み込んだ。