第27章 2回目の誕生日
季節は秋から冬に移り変わろうとしている。
音駒高校の文化祭が終われば次は春高予選。去年全国に行った音駒はシード枠での出場。順調に勝ち進んだリエーフ達は今年も代表決定戦へと駒を進めた。
私は11月頭のオープンスクール、リエーフは11月中盤の代表決定戦に向けて忙しくなってきている10月後半。
今年も頭を抱える問題がやってきた。
そう、リエーフの誕生日だ。
今年はプレゼントは決まっているし注文もした。ラッピングは…未来の私に託す…
あとは料理。何を作ろうかと今年も迷う。
正直な話をすれば、オープンスクールの準備があるから学校もいつもより終わりが遅め。だからそこまで時間をかけたものは作れない。どうしようと悩むけれど、焦れば焦るほど煮詰まってしまう。
ケーキ、ご飯…得意分野のはずなのに、特別になると悩んでしまう。
好きなもの縛りは去年お弁当で作ったし…
せっかく家でお祝いできるんだから…
ぐるぐると同じことを何度も悩み頭がパンクしそう。
「美優さんため息。ここ最近ずっとですがどうしたんすか?」
我に帰れば、隣で手をあわあわさせて問いかけるリエーフ。お皿を拭きながらため息をついていたのだろう。不安げに覗いてくるリエーフに嘘をつくのはよくないなと正直なことを言った。
『あのね、リエーフの誕生日のご飯…何作ろっかなって。』
「そういえば誕生日もうすぐっすもんね。」
『色々考えたけど何も思いつかなくて…リエーフ、何が食べたい?』
悩みすぎて空回りするならば本人に聞くのが1番だな、と問い掛ければ、リエーフも悩み出す。
少しだけ悩んだリエーフの顔が何かを閃いたらしくぱあっと晴れると、リエーフは私の方を向いた。
「待ち合わせしてどこかに食べに行きましょう?」
…外食?
お皿を拭く手を止めてリエーフを見れば、リエーフもお皿を洗い終わったのかタオルで手を拭きながらニコニコの顔で私に告げたのだった。
「俺、美優さんと誕生日にデートしたい!」