第5章 わちゃわちゃGW。
そして来ました。ゴールデンウイーク。
久しぶり…と言っても1ヶ月ぶりの音駒高校。
先に職員室に挨拶に行って、体育館に向かう。
『お疲れ様でーす!』
体育館の扉を開ければちょうど休憩中だったようで皆が一斉にこちらを見る。
「みゆさーん!」
体育館の端っこにいたはずのリエーフが対角線上にある入り口の方に走りこんでくる。
『えっ!ちょっ!まっ!リエーフストップ‼︎』
「しませーん!」
にこにこしながら突っ込んできたリエーフにタックル並みに突っ込まれ吹っ飛びそうになる体。
まあ、リエーフに抱きしめられてるから飛んではいかないけれど…
『リエーフ…監督に挨拶行くから…離して?』
「えー…」
『あとでいっぱいぎゅーってしてあげる。だから待ってて?』
「…はーい。」
しゅんとしたリエーフを後ろに従えながら私は猫又監督のところに向かう。
『お久しぶりです、猫又監督、直井コーチ。』
「おうおう、久しぶりだのう。嬢ちゃん、このでっかいのの子守任されてるって?」
『さすが監督…お耳が早い…』
ああ、耳が痛い。
視線も痛い。
『リエーフの両親から一時預かりしてるだけです。
なのでリエーフに何かあったら私に連絡をお願いします。』
そう言って一礼すると本題に入る。
『差し入れアイスなんですけど配って大丈夫ですか?』
それを聞いたリエーフは先ほどのしょぼんとした顔を輝かせる。
まるで待てを強要された犬のように私の後ろでOKの言葉を待っている。
「だめって言っても聞かないだろうしな…よし、烏養!」
直井コーチがけーしんさんを呼ぶ。
ちょっと話をした後、直井コーチがOKサインを出したからドライアイス入りの発泡スチロールを体育館の床に並べた。
『音駒高校OGから差し入れでーす。
喧嘩しないように食べてくださーい。』
それを言った後私は端に避難する。
じゃないと、アイス争奪戦に巻き込まれてしまうから。
案の定、わちゃわちゃとアイスに群がる男子達。
そんな中、私は男子の壁に阻まれた唯一の女子に近づいた