第26章 音駒がくえんさいっ!
クロの車で家に送ってもらい自宅に着けば、朝の時点で仕込んでいたおかずを調理しすぐにご飯。食べ終われば後片付けとお風呂に分かれてそれぞれ動く。今日は私が先にお風呂に行き、終わればリエーフがお風呂。スキンケアをし髪の毛を乾かしていれば、お風呂上がりのリエーフが首にタオルを掛けて戻ってきた。
『リエーフ、お湯抜いてくれた?』
「抜いてそのまま洗ってきました。」
お礼を言えば、リエーフは私の背後にあるソファに腰を下ろし手を伸ばす。その手にドライヤーを手渡すと、受け取ったリエーフが私の髪を乾かし始めた。
『これも久しぶりだね。』
「夏休み明けてからお互い忙しかったですもんね。」
『前半は私だし、最近はリエーフが忙しかった。』
くすくすと笑えば、リエーフは一度ドライヤーを止め私に手を伸ばす。テーブルに並べたヘアオイルを渡せば、丁寧にそれを髪に塗ってくれた。
「これからあるのは春高予選と、代表決定戦、あとは冬休み明けに春高。修学旅行もあるしなぁ。」
『テストは?2学期は中間と期末あるでしょ?』
「う…それは言わないで…」
テストの話題を出すと頭を抱えるリエーフに思わず笑みをこぼしながらふと思う。リエーフが春高のことをちゃんと考えていたのが意外で…
現在3年生は研磨がセッター、山本、福永がウイングスパイカー。
2年はリエーフがミドルブロッカー、犬岡がウイングスパイカー、芝山がリベロ、球彦がセッター。
1年がミドルブロッカー多めで、セッターやリベロが1人ずつ。
メンツ的には悪くない。でも、去年の布陣が最強だったんだよなぁと、去年の春高を思い出してしまうんだ。
ぱちりとスイッチを入れる音と共にドライヤーの音が再びリエーフの声を遠ざける。
気にしなくてもいい不安が心を渦巻いていき、カーペットに爪を立てる。