第26章 音駒がくえんさいっ!
「大丈夫っすよ。」
強い風とモーターの音の中聞こえるリエーフの声。その声は私の耳にはっきりと届く。
「確かに黒尾さんも夜久さんも海さんもすごかった。でも、今年も俺がいるんですよ?だから大丈夫。」
なんでリエーフは私の不安がわかっちゃうんだろう。
たくさんの努力の積み重ねの中の、可能性の勝利。
それを信じてきた3人がいない不安を吹き飛ばすような、自信。
思わずふふっ、と笑みを溢せば、またドライヤーの音が止まり肩に少しの重みと耳元に吹きこまれた声。
「俺は美優さんがいてくれたら頑張れるから。」
肩に乗る顔に手を伸ばすと頬を柔く撫でる。
「だから、信じてて?」
リエーフはすごい。
本当に大丈夫って思わせてくれるから。
体の向きを変えリエーフの方を向くと、頬に手を寄せてキス。
「春高、今年も連れてってくれないと許さないから。」
私の言葉にグリーンの瞳が細まれば、答えの代わりに柔らかな唇が降ってきたのだった。