第24章 4人、ベッドで。
side灰羽
周りを風呂に促しながらも瞼が閉ざされていく美優さん。度重なる"運動"と緊張のおかげで限界を迎えたらしく、美優さんは体を小さく丸めながらすやすやと眠りに落ちた。
寝てしまったのは美優さんだけではない。
黒尾さんに体を擦り寄らせながら莉奈も寝息を立てていた。
「リエーフ、風呂は。」
顔を上げれば、残ったミネラルウォーターを一気に流し込む黒尾さん。シャワーくらいは浴びたい。でも美優さんが起きたらでいいかな。
「俺はいいっす。黒尾さん入るならいいっすよ。」
「俺も莉奈が起きたらでいいわ。」
猫のように小さく丸まって眠る美優さんに寄り添うように横に座り頭を撫でると、くすくすと笑う黒尾さん。
「甘やかされてばっかりだと思ったらそうでもなさそうじゃねえか。」
どういう意味だと問おうとすれば、それより先に言葉が続く。
「ちゃんと美優が甘える場所になれてる。よかったじゃねえの。」
黒尾さんは4年前の…1番美優さんが人間不信になっている時期を見ている。そして、その頃は黒尾さんが美優さんを好きだった時。
ふと、気になり、黒尾さんに視線を送れば気づいた黒尾さんはにやりと笑う。
「なんだよ、リエーフ。」
「黒尾さんって美優さんのこと好きでしたよね。今って…」
黒尾さんには莉奈がいる。でもまだ美優さんのことが好きだったら、今回の件は間違いだったのかもしれない。
少しだけ焦りを秘めたまま聞けば、2人が眠っているからか堪えながら笑う黒尾さん。
「確かにな。美優のことは好きだぜ」