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あいつはねこまのわんこ系少年 そのにっ【HQ】

第22章 今年も夏休みは終わらないっ!〜3日目、我が家!〜



蛍に作りたいものを聞けば、すぐに出る困り顔。
うんうん唸った結果、出てきたのはピーマンの肉詰め…というより中の肉ダネの作り方を知りたいらしい。
確かに万能だもんね。
ピーマン、しいたけ、ナスに詰めて肉詰め。
そのまま丸めてハンバーグ、肉団子。
スープに落としてもいい。
一回作って冷凍しておくこともできるしね。

『了解。じゃあ作っていこうか。』

そういうと私は先ほど買ったばかりのひき肉をボールに移す。
そして冷蔵庫から取り出したおからを入れると蛍は眉間にしわを寄せた。

「美優さん…肉詰めですよね。」

『そうだよ?こうしないとひき肉すぐになくなっちゃうから。それにヘルシーだし。』

あははと苦笑いすれば、蛍がため息。

『でもね、栄養も取れるし味も馴染むから美味しいよ?』

つなぎの卵、みじん切りにした玉ねぎと人参を入れながら私はそう答える。
塩コショウ、醤油、生姜、和風だしを入れて捏ねると纏まっていく肉ダネ。
しっかり混ざったら蛍にお願いし、下ごしらえを終えたピーマンに肉ダネを詰める。

「そういえば、ピーマンに片栗粉を振るのはなんでですか?」

使い捨て手袋をし、肉ダネを詰める蛍がふと問うた。

『簡単に言えば接着剤みたいなもの。肉だけ詰めちゃうとたまーに外れてきちゃうの。』

そう言いながら私は蛍が作った肉詰めに片栗粉を振る。
赤みがかった肉に雪のように粉がかかるのを見ながら私はフライパンを取り出した、

『できた分から先に焼いていくね?』

フライパンを火をかけ油を敷くと、出来上がった肉詰めから順に焼いていく。

「僕、こっちに進学しようと思ってて…」

ぽつりと出た言葉に私はフライパンを見ながら答える。

『何かやりたいこと見つかった?』

「そういうわけじゃないんですが…」

ふ、と顔を上げ蛍を見れば少しだけ頬を赤く染め私から目をそらす。

「僕だけ不平等じゃないですか。移動費とか…」

恥ずかしいのかピーマンに肉を詰めながら呟く言葉。
去年の合宿の時なんか渋々自主練に出てたのにね。

「それに…」

続けられた言葉。
それに私は赤面し蛍に笑われてしまうのだが、そんなことらつゆ知らず、私は顔を上げ蛍を正面から見た。

「僕、まだ諦めたわけじゃないから。美優さんのこと。」

ニヤリ、と笑った蛍の顔。
それは弟のような顔でなく、男の人の顔、だった。

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