第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
『ねえ、木兎?』
声をかければ、しょぼぼんとした木兎が頭をあげる。
わたしはさっきリエーフ達と話をしていたお店のホームページをスマホで開き、木兎の目の前にかざした。
『これ、クロ達が今並んでるお店。これとか、これ、美味しそうだよ?』
ホームページに並んだ美味しそうなフレンチトーストの数々。
その中でもベーコンが添えてあるものを見せれば、下がり眉毛がぴくりと動く。
よし、食いついた。
『あーあ、美味しそうだなー。しょぼくれ木兎は置いて行っちゃおうかなー。』
スマホを鞄に戻すとよいしょとベンチから立ち上がる。
しっかり立ち上がることができるのを確認し1人歩を進めようとすると、木兎はガバリと立ち上がる。
「いく!俺もいく!腹減った!」
『じゃあ行こうか。』
「おう!」
木兎は食べ物が売ってるブースの方へと歩き出す。
…よかった。
しょぼくれ木兎を立ち直らせる方法、食べ物で釣るくらいしか知らないから…
食べ物の匂いにつられ、嬉しそうに歩く木兎の後ろにつきながら、私はあることをしなければと強く思った。
赤葦に、木兎がしょぼくれたとき、ご飯以外にテンションをあげられるもの、テンションのあげかたを聞く、ということを…