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あいつはねこまのわんこ系少年 そのにっ【HQ】

第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜




全員が合流したあと、私達は車に乗り込み熱海を後にした。
帰りも行きと同じ湾岸沿いを通る。

3日間、晴れてよかったな。

キラキラ輝く海を見ながら思う。
カーステレオからはノリノリのサマーチューン。
海を見ながらぽそり口ずさむと、するり、左手に暖かな何かが乗る。
見ればそれはリエーフの手で、リエーフを見ればにかり、と笑う。

「楽しかったっすね?」

小さな声で私に問う。
音楽で前には聞こえないくらいの音量。
くすり、笑って頷くとリエーフの手が私の指に絡まるように動く。
絡められた手をぎゅっと握り返すと、視線が絡まり思わず2人でくすりと笑った。

「後ろで2人だけの空間作ってんじゃねーぞー。
ばればれだからな?」

「そうですよ?私、我慢してるのにずるいです。」

突然のクロの声に前を見れば、ルームミラー越しに目が合う。
そして座席の隙間から莉奈ちゃんが覗いている。
ごまかすように苦笑いをしながら手を離そうとしたけれど、リエーフは私の手を引き前からは見えない位置できゅっと手を握る。

リエーフ、と名前を呼び咎めようとするけどリエーフは手を離さず、空いた手の人差し指をとん、と自分の唇に当て、ウインクをする。

”ひ、み、つ”

そう、形の良い唇が動く。
悪戯っ子のようなその表情に、胸がきゅんと疼く。

まあ、これくらいなら…

手を繋いだまま私はリエーフの肩に頭を乗せる。
くすり、と笑ったリエーフの顔を見た私。
その顔で安心したのか、はたまた前日の睡眠不足が祟ったのか、いつの間にか私の瞼はすう、と降りていて…


車の揺れとリエーフの暖かさを感じながら、私の意識は夢の世界へと旅立っていたのである。

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