第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
待っていてくれるみんなには悪いけれど、少しくらいなら…と、イートインスペースをお借りして、私たちは話をした。
席に着くなり莉奈ちゃんがなぜか頭を下げる。
「昨日はごめんなさい。てつろーさんが…」
『いやいや莉奈ちゃんは悪くないよ⁈悪いのはリエーフとクロだし…ね?』
周りの目を考えてあの、だのあれが、だのと、他人が聞いたら全くわからない会話を繰り広げる私達。
ココアのグラスをストローでからり、と混ぜながら莉奈ちゃんは小さな声で話を続ける。
「で…美優さん、どうでした?」
にやり。
先ほどの申し訳なさそうな顔から一転、ちょっと楽しそうな顔をした莉奈ちゃんが私を見る。
アイスティーを口に含ませていた私は危うく口から吹き出しそうになった。
『ど!どうって何が⁈』
持ってきていた紙ナプキンで口元を拭きながら問うと、莉奈ちゃんは小さくくすりと笑いながら私を見た。
「昨日のえっち♡気持ちよかったですか?」
小さな声だったけどよく通る声に周りをきょろきょろ見てしまう。
当たり前だけれども聞いていないことを確認するとすると、私は莉奈ちゃんの方に体を寄せ小さな声でぽそり呟く。
『気持ち…よかったよ?莉奈ちゃんは?』
「まあ…私も、です。で、美優さん?」
莉奈ちゃんがじっと私を見る。
その瞳はまるでクロが何か悪巧みを考えている時を彷彿させ、やっぱりこの2人、似てるな、と思わせた。
なんだろな、と思いながら目の前のブルーベリーのデニッシュを頬張った瞬間、莉奈ちゃんは口に笑みを浮かべながら、そっと私の耳元で囁いた。