第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
満足するまでお寿司や海鮮丼などを堪能しお店を出ると、私たちは先ほど私が店の前で買うのを迷ったパン屋さんへと足を進めた。
流石に全員お店に入るのはお店に迷惑だからと、私と莉奈ちゃんが代表でお店に入り他のメンバーは外をうろついていてもらい、買い物が終わったら合流、ということになった。
入れば丁度焼きあがったらしく、ほわり、とパンのいい香りが漂う。
まずは、先ほど悩んだデニッシュ。
全種類を2つずつお盆に乗せ、他の棚へ。
店に入る前、「あれ食いてー!」と店の前で木兎が叫んだメンチカツバーガーとテリヤキチキンの乗ったパンを取り、そのほかにも美味しそうな惣菜パンを次々お盆に乗せる。
「美優さんっ!これっ!」
莉奈ちゃんが指差したのはメープルメロンパン。
クッキー部分がカリッカリで美味しそうなそれを3つお盆に乗せた。
あとは明日の朝ごはん用に食パン1斤。
他は莉奈ちゃんと迷いながらサンドイッチやカレーパン、クロワッサンなどを選んだ。
お盆2つに乗せたパンを会計に持っていくときに、莉奈ちゃんが小さな声で私を呼ぶ。
「美優さん…そういえばなんですけど…」
『ん、何?』
莉奈ちゃんの方を向けば、なぜか莉奈ちゃんの顔が真っ赤。
何があった⁈とびっくりしたのもつかの間。
莉奈ちゃんの発言に私の顔も一気に真っ赤になった。
「あの…昨日の夜のこと…なんですけど…」
ああ、そうだった。
すっかり記憶から消去させていたけれど、昨日クロたちと電話しながらエッチしちゃったんだっけ…
私はレジの人に2つのお盆を預けるとお会計をお願いする。
そしてそのまま入り口の正面に向かうと、新たに2つのパンを取り、レジに戻った。
『すいません、この2つここで食べていきます。
あとアイスティと…アイスココアを。』
不思議そうに私を見る莉奈ちゃんに目線を合わせ、私は少しだけ微笑んだ。
『ちょっとお茶していかない?莉奈ちゃん。』
その提案に莉奈ちゃんは真っ赤な顔をこくりと頷かせた。