第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
通されたのは8人がけのソファー席。
男子4人、もしくは3人+女子が並ぶのはきついので、席順は木兎、赤葦、蛍の3人、そしてクロ、莉奈ちゃん、リエーフ、私の4人の並びに決まった。
話し合いの結果、結局は全員シェアでなく一人一人が食べたいものを注文、の形に落ち着いた。
本当はまとめての方がいいのかな…と思ったけれど、赤葦の「それだと誰かが食べ尽くしますよ」の言葉に納得した。
ちなみに私は特上握りセットとまぐろづくしの握りのセットをリエーフとシェア。
それにあら汁を注文。
それにリエーフはネギトロ巻きを追加。
私たちの話を聞いたクロたちも私たちと同じものを注文。
プラスしてクロは莉奈ちゃんが好きな甘エビを。
木兎はメニューの中から好きなものをかたっぱしから選んでた。
赤葦は美味しそうな海鮮丼プラス好きなお寿司を何貫か。
蛍はお寿司何貫かと茶碗蒸しを。
蛍に足りるのか聞けば「足りなければ追加するし…それにあとでパン買うんでしょ?昼に食べ過ぎたら入んないし…」だって。
そんな話をしていれば、私達の目の前に新鮮な魚介類が並び始めた。
私とリエーフ、クロと莉奈ちゃん、蛍には寿司下駄が各1つずつ。
赤葦にはお皿に数貫のお寿司と小さなすし桶に入った海鮮丼。
…そして、木兎の周りには寿司下駄が3つ並んでいた……
寿司下駄一つに握り寿司12貫並ぶ事を考えると、25貫以上頼んでる計算だ…
チェーン店よりネタもシャリも1.5倍程度大きい事を考えると…
木兎の食欲、おそるべし…
見事に並んだお寿司達でいっぱいになったテーブル。
いただきますの挨拶をして、各自注文したものに箸を伸ばした。
ぱくり、一口食べた瞬間、このお店がどうして行列をなしていたかがわかった。
『美味しい…』
ネタが大きいのもそうだけど新鮮。
東京なら2000円、3000円近くするような握りのセットが1500円で食べれるなんて!と感動しながら食べていれば、リエーフが柔らかな笑みで私を見た。
「美優さん、美味しい?」
ネタの大きなお寿司を口に含んでいたので言葉を発することができない。
口の中のものを飲み下しつつ私は何度もこくこくと縦に首を振る。
それをみたリエーフはふわり、笑った。