第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
2時間後、みんな納得のいく作品ができたようで嬉しそうな顔をしていた。
私も、そしてリエーフも先ほど図にした指輪、モチーフの通り作れたので嬉しさもひとしお。
指輪とモチーフをそれぞれいただいたケースに入れると、私はそれを鞄に入れた。
「さて、一回車に戻るか。流石にそれ持って飯とか面倒だろ?」
クロの言葉に蛍や赤葦、木兎を見ればそこそこの荷物。
ガラス製品だからうっかり落として割っちゃったらもったいないもんね。
私たちは工房の方にお礼を言い工房を出ると一度車に戻った。
そして少し話し合った後、お土産を買うつもりでいた熱海駅に車で移動。
お昼ご飯を食べるために熱海駅横のアーケード街へとくりだした。
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私達が駅に着いたのはちょうどお昼の混む時間。
車中、ネットで探したお店はソコソコの賑わいを見せていた。
待ち時間は30分から1時間。
赤葦、木兎、蛍が列に並んでくれている間、私とリエーフ、クロと莉奈ちゃんは一昨日選びきれなかったお土産を買うことに。
赤葦たちに別れを告げてまずはお饅頭屋さん。
吟味に吟味を重ねて選んだお饅頭。
結局、最後の最後まで2つのお店で迷ってそれぞれ1箱ずつ買ってしまった。
次に駅前のお土産屋さんで気になってた調味料を。
それらを車に置き、赤葦たちのところへ戻る途中、素敵なパン屋さんの前でついつい私は足を止めてしまった。
「…美優……今から飯…」
『いや…デニッシュ、種類豊富で美味しそうなんだもん…』
通り側のガラスの壁から見えた色とりどりのデニッシュ。
苺、ラズベリーにブルーベリー、杏、桃など様々なフルーツやクリームが乗っているそれらはきらきら光って、まるで私を誘っているかのよう。
他にも蒸しパンのふわふわ加減やクロワッサンのさくさく加減。
お惣菜パンのジューシーさなど、見た目からして食欲を誘うパンばかり。
食べたい。
ものすごく食べたい。
でも今食べたらお昼ご飯が…
『…っじゃあ……帰りに買う…それでいいでしょ?』
きっとお昼ご飯を食べたからって夕飯までお腹が空かないわけがない。
特にリエーフと木兎。
それを見越して…っていう建前で購入することをクロに了承させた。
よし。
心残りは消えた。
お昼ご飯食べるぞ。
そう意気込むと私は、ため息をつきながら先に進むクロたちの後を小走りで追った。