第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
ステンドグラスの体験を選んだ蛍は、キャンドルボックスを作るらしく、周りのカットガラスを選び始めた。
サンドブラストを選んだ赤葦と木兎は、グラスの削り方を選んだあと、削る模様を選び始めた。
クロと莉奈ちゃんはお揃いのピンキーリングとネックレスのモチーフを作るらしい。
私は…
正直悩んでいた。
過去、工房で作られた指輪やモチーフのサンプルを何枚も見たけれど、何がいいのかものすごく悩む。
2人お揃いの指輪は持ってるし…
ネックレスのモチーフ…
それともバングルでも作っちゃう?
でもせっかくだからお揃いにしたいし…
そんな風に考えていればリエーフが私に声をかける。
「美優さんって指輪、何号でしたっけ?」
『えっと…たしか7号…リエーフは?』
「前お揃いで作った時は17…18?たしかそのくらいでした。」
『…ってリエーフ指輪作るの?』
驚いて問えばリエーフは私ににこりと微笑んだ。
「前買ったのもありますがやっぱり”世界に1つ”っていいなって思って。」
デザインも好きな形選べますしーなんてリエーフは話を続ける。
デザイン案があるのかと問えばリエーフは自信を持って「はい」と答え、目の前の紙にサラサラと図を書いて行く。
片面はシンプルな指輪に猫の耳のような突起が2つついているもの。
その裏面はV字になり、中心に小さな石がついている。
シンプルながらも素敵なデザインで、私は一発でそのデザインが気に入ってしまった。
『指輪のデザインがそれなら…じゃあこんなのはどう?』
リエーフが指輪のデザインを書いた隣。
指輪のデザインを見て閃いたネックレスのモチーフを紙に書き出せば、リエーフはいいですね、とにこり笑う。
縦長のプレート。
上側のスペースに隙間をつけ、そこから猫の耳が 生えているようなデザイン。
そして片方の目を表すようにストーンを書きたせば満足する仕上がりに。
「じゃあ俺、指輪作りますね?なので美優さんはモチーフの方を。」
『了解。ちゃんと指に入るように作ってね?』
なんて冗談で言えばぐっと息を詰めるリエーフ。
いや、そこ間違えたら終わりだから…
「では、みなさんデザインが決まったみたいなのではじめましょうか。」
そうお店の方に促され、私たちのものづくり体験が始まった。