第20章 甘く、はげしい夜。〜旅行2日目、夜〜
side灰羽
突然スマホから流れた軽快なメロディー。
びくり、と身体を強張らせた美優さんの頬を撫でながら画面を確認すれば、壁一枚で仕切られた隣の部屋にいる先輩の名前が表示されていた。
美優さんのナカに入ったまま電話を取れば聞こえるセンパイの声。
「よお、リエーフ。おまえどんだけ盛ってんだよ。」
「黒尾さんこそ…声聞こえてますよ。で、なんですか?美優さんもうちょっとでイきそうだったのに。」
『やっ!リエーフ…っ!』
くるりと後ろを向いた美優さんに静かにして欲しくて腰を送れば、美優さんは小さく喘いでへにゃりとシーツに沈み込んだ。
「で、なんです?要件は手短にお願いします。」
そう言えば黒尾さんはククッと笑う。
「一緒にしねえ?セックス。」
「……は?」
「ってつろーさんっ!」
電話越しに慌てた声の莉奈。
そして楽しそうな黒尾さんの声。
「どうせ聞こえてんなら変わんねーだろ。」
いやいや、変わる変わらないの問題じゃない。
「…美優さんのエロい顔見せたくないんで嫌です。」
美優さんの感じてる顔
揺れる胸
俺を受け入れる秘部
俺の名前を呼びながら果てる姿
俺以外の誰にも見せたくない
そう思うのは贅沢なことなのだろうか。
少しイラついた口調で言えば黒尾さんはいつもの笑い声。
「まあ、俺も莉奈のこと見せるつもりはねえよ。
だから…」
「…わかりました。」
俺は、黒尾さんの2度目の提案を了承すると、通話状態のスマホをスピーカーにして美優さんの頭の近くへと放った。