第20章 甘く、はげしい夜。〜旅行2日目、夜〜
side灰羽
コンコンコンッ。
軽くノックを3回すると、それに気づいた美優さんが、はぁいと返事をした。
そっと扉を開けば、美優さんはベッドに腰掛けスマホを弄っていた。
「早かったっすね?連絡くれるの。」
そう聞けば、美優さんはスマホから顔を上げ困ったような顔をして笑う。
『莉奈ちゃんにここに行ってくるって言ったら部屋から出されちゃった。朝まで帰ってこないでだって。』
美優さんはスマホを充電機に繋ぐと俺を見上げる。
『ねえ、リエーフ。ギュってしても…いい?』
甘えるように呟かれる言葉。
そんな美優さんが可愛くて、俺は左右に手を広げた。
「いいですよ?美優さん。」
にこり、笑えば美優さんはベッドから立ち上がり俺の体に手を回し控えめにぎゅっと抱きついてきた。
ふわり、香る甘いシャンプーの香り。
俺の胸…より下、みぞおちらへんに頬ずりする美優さん。
可愛いし、もっと甘えてもらいたい。
でも、この体勢じゃ顔が見えない。
だから俺は、一度美優さんの肩をとんとんと叩くと体を離す。
そして、美優さんが座っていた反対側のベッドに腰掛けると改めて左右に手を広げた。
俺の意図がわかった美優さんは、くすりと笑うと正面から俺に抱きつく。
普通だと身長差がありすぎる俺たち。
だから、1番近づけるこの体勢が1番好きなんだ。
『リエーフは本当にこの体勢でぎゅってするのが好きだよね。』
「だってこの体勢の方が美優さんが近いから…」
俺の顔の少しだけ上で微笑む美優さん。
そんな美優さんの背中を押して俺の方に引き寄せると、ふにふにの唇に自分の唇を触れさせる。
「近いとこんな風にキスできますもんね?」
そう笑えば、美優さんは照れたようにふいと顔を背ける。
何回キスしても初々しい反応。
それがすごくクるんだよな…
そんなことを考えながら俺は美優さんをぎゅっと抱きしめ、硬度を持ち始めた俺の中心を美優さんの足に押し付けた。
『リエーフッ!』
「このために呼んだんでしょ?美優さん。」
『違…「うの?」
重ねるように問えば、美優さんは真っ赤な顔で困ったように、ぽそり、呟いた。
『違わ…ない…』
俺は、そんな美優さんを見て、くすり、笑った。