第20章 甘く、はげしい夜。〜旅行2日目、夜〜
side灰羽
約束していた”呼び出し”が掛かったのは、美優さんたちが寝ると言って一階に降りて行ってから大体30分が経った頃。
すでに男子部屋の電気は真っ暗。
トイレに行くふりをして部屋を抜け出そうとすると、それより早くむくりと動く1つの影。
誰だ…?
疑問に思いながら見ていると、その影は部屋の外へと消えていく。
俺は、そっと布団から抜け出すとその影が向かう方向を確認。
その影…黒尾さんは階段を下り、なぜか1階へ向かっている。
トイレならキッチンの横にもあるからわざわざ1階まで降りなくてもいいのに。
そう考えた瞬間、1つの考えが浮かぶ。
もしかして…
莉奈に誘われた…とか?
むくりと湧き上がる好奇心。
だけど俺には関係ないと好奇心を捨て去り、俺も階段を下る。
きい、と開くドアの音を階下に聞き、やっぱり自分の考えは間違ってなかったと考えつつ、俺は昨日美優さんと一緒に忍んだ部屋の扉をノックした。