第19章 今年も夏休みは終わらないっ!〜2日目、海!海!海!〜
『リエーフは、それで寂しくない?』
いつのまにするようになったのだろう。
寂しさを、辛さを隠すような大人の笑み。
最初は学校があったから一緒の時間も長かった。
2年目の今年はお昼はばらばらでも朝と夜は一緒。
じゃあ、来年は?
学校も違う。
生活の時間も違う。
今みたいにリエーフに会えない。
寂しくないわけがない。
じゃあ、リエーフは?
問いかけて顔を覗き込むと、リエーフは私から目をそらす。
『寂しく…ない?』
「っ…寂しくないわけ…ないじゃないですか…」
リエーフは私に前を向かせさらにぎゅっと抱きしめると、私の肩におでこを乗せて顔を見られないようにした。
「毎日顔合わせてたのが、もしかしたら何日も何週間も、何ヶ月も会えなくなるんですよ。
電話やメールはあるけど、やっぱり声聞いたら抱きしめたくなるしちゅーだってしたい。
…寂しいです……」
途切れる言葉。
小さくつかれるため息。
「でも」
す、とあげられる顔。
驚いてリエーフを見ればリエーフはふわり、微笑んだ。
「来年頑張れば、もっとずっと一緒に居られる。」
『…りえ』
「来年頑張って高校卒業したら
今度は俺の意思で美優さんと一緒に暮らしたい。」
そう言い切る姿に、ふ、とリエーフのお父さん…良彰さんの姿が被った。
”今回のプロジェクトを成功させるために、妻…レイラを連れて行きたいんだ”
2人がロシアへ行ってしまう。
そう聞かされたあの日の良彰さんの姿が、
今のリエーフそっくりだった。