第19章 今年も夏休みは終わらないっ!〜2日目、海!海!海!〜
side月島。
なんなんだ。この体力馬鹿達は。
部活でもないのになんでバレーやらなきゃならないんだ。
それも体力馬鹿3人は部活のノリでバレーしてるからついていけない。
僕は飲み物を飲むためビーチバレーをしている6人から離れ、パラソルに向かった。
パラソルの下に座り込むと、それに気づいた赤葦さんがこっちに近づいてくる。
「月島、大丈夫?」
「旅行きてまでバレーはな…って思っただけです。」
そう僕が呟くと赤葦さんはくすりと笑う。
何が可笑しいのかわからず、怪訝な顔をしたのだろう。
それを見た赤葦さんは、バレーをしているみんなの方を指差し、周りに聞こえないように声をひそめる。
「みんな真面目にバレーしてると思った?今日はみんな下心しかないよ。」
下心…?
バレーをするみんなを凝視すれば原因がわかった。
水着という薄着でラッシュガードも着ずにパスを受ける美優さん。
ボールを受けるたび大きな胸がぽよんぽよんと揺れている。
本人は一生懸命だから気づいていないけれど、黒尾さんと木兎さん、そして赤葦さんは気づいてる。
まあ、思春期男子。
気にならないって言ったら嘘じゃない。
ちなみに知らない周りの男達にもしっかり見られているのはわかっているのだろうか…
僕は、先ほど美優さんがパラソルの下に脱いでいったラッシュガードを掴むと、ゆっくり美優さんに近づく。
「美優さん。」
僕が手招きしながら呼べば、呼ばれたことに気づいた美優さんが僕の方を向き、不思議そうに首をかしげる。
「どうしたの?蛍?」
そう、聞きながら僕に近づく美優さん。
急ぎじゃないから走らなくていいのに。
胸、揺れてる…
無防備すぎる美優さんが目の前に来ると、僕は美優さんのパーカータイプのラッシュガードを肩からかけてあげる。
「美優さん無防備すぎ。自分がどんな目で見られてるか少しは意識して。」
…今までの行動を思い出すと、気づいてしまったのか顔を真っ赤にさせる。
「あり…がと……」
恥ずかしそうにラッシュガードのファスナーをあげながらバレーに戻っていく美優さん。
僕もパラソルに戻ると明らかにからかい顔の赤葦さんに出迎えられる。
「月島、紳士だね。」
「茶化さないでください。」
上目遣いで恥ずかしそうに僕を見る美優さんがやけに可愛く見えて、僕はパーカーのフードを被った。