第18章 旅行の夜はなぜ長い?〜旅行1日目〜
そっと玄関にいけば、先についていたリエーフが私を見つけ手招きをした。
「美優さんっ!」
『リエーフ静かにっ!みんな寝てるんだから。』
リエーフはそうだったと言わんばかりに苦笑い。
2人でサンダルを履くとそっとドアを開け、外に出た。
お昼は暑いけれど夜は冷えて少し寒い。
持ってきた上着を羽織ると少し先に進んでいたリエーフが私を手招きする。
「この木と木の隙間から海が見えるんです!」
リエーフに言われた場所を覗くと、街の灯りと、黒々とした海。
その中に漂う船のわずかな明かりがものすごくキラキラしていて息を呑むほど綺麗だった。
『すごい…ね。』
「すごいっすねー。」
いつのまにか繋がれた手をきゅっと握ると、それに気づいたリエーフが私の方を向きにこりと笑う。
「綺麗な景色、美優さんと見れて嬉しいです。」
『私も…嬉しい。』
もう少し下の方へ行ってみようとリエーフが提案するのでゆっくり、ゆっくり進めば、先ほどよりもひらけた場所を発見。
街の灯りがもっとキラキラしていて、思わずリエーフに抱きついた。
「…?どうしたんすか?美優さん。」
『あのね?これからずっと…リエーフとこんな景色見ていけたらなって思ったの。
1人じゃなくて、リエーフと2人。
いろんな景色をリエーフと見たいな…って思…』
リエーフは最後まで言わせてくれなかった。
突然のキスにびっくりしているとキスの合間に目を閉じるように言われ、私はそっと目を閉じ、リエーフの背中に腕を回した。
「美優さん…さっきのって、プロポーズってやつですか?」
唇が離れた時にそう聞かれ、瞬時に赤面する。
『そんなつもりじゃ…』
「それでも俺は嬉しいです。」
ふわり
体が宙に浮いた。
リエーフが軽々と私を横抱きにするので私もとっさにリエーフの首に腕を回す。
「ずっと一緒にいてくださいね?」
そう言って笑うリエーフが愛しくて、私はぎゅっとリエーフを抱きしめると、そっと唇にキスを落とした。