第18章 旅行の夜はなぜ長い?〜旅行1日目〜
『木兎戻ってきたよ?』
「じゃあ次俺な?」
そう言って立ち上がったクロは隣にいた莉奈ちゃんの頭をひと撫ですると、部屋を出て行った。
『本当、仲良いよねー2人。』
そう呟くと莉奈ちゃんの顔が真っ赤になる。
「そっ!そんなことないです!」
「森然の合宿にも、黒尾さん来てましたしね。バレーよりも彼女見てる時間の方が長かったですし?」
「木兎さんも来てブロック練始まった時なんてどシャット決めたそばから彼女に目線送ったりして。」
ほうほう、そんなことがあったのか。
にやにやしながら話を聞いていると莉奈ちゃんが真っ赤な顔で小さくなっていく。
さすがにかわいそうなのでそろそろからかうのは終わりにしますか。
『まあ、彼女がこんなに可愛いんだからしょうがない。で、明日の夜のご飯は何にするの?』
話題を変えると速攻で乗って来たのは木兎。
きらきらと目を輝かせ私に詰め寄って来た。
「俺唐揚げ食べたいっ!唐揚げ!」
「俺もー!」
便乗したリエーフが私を抱きしめながら発言する。
『残念だけど揚げ物は無理ね。帰った日にうちで作ってあげる。』
よほど唐揚げが食べたかったのか2人は唐揚げのことで頭がいっぱいになったようで静かになった。
「僕そうめんとかでいいんですが…」
そこまで量入らないし…とげんなりしているのは蛍。
赤葦は嫌いなものさえなければいい、とのこと。
莉奈ちゃんはサラダがあったら嬉しいな…とのことだった。
なんとなく組み立てられていく明日の夜の食事。
考えてるだけで気持ちがわくわくしはじめた。
よし、気合い入れて作るぞ!