第17章 今年も夏休みは終わらないっ!〜今年も大集合!1日目編〜
『木兎、じっとしててね?』
私は木兎の襟元に手を入れ、おしぼりでシミをとんとんと叩く。
とんとんと何度もシミを叩くと少しずつ醤油の茶色が薄くなっていく。
隣の赤葦がほっと胸をなでおろすのが目に入る。
シミは近くで見ないとわからないくらいまで綺麗に消えた。
『とりあえず目立たなくなったからあとは帰ってからね?』
それでもまだしょぼーんとしている木兎。
仕方がないなぁ。
『リエーフ?私の鞄からストール出して?』
冷房での冷え防止のために持ってきていてよかった…
リエーフからストールを受け取ると薄手のストールをうまく巻いてシミがある場所をかくす。
『これでシミも目立たないし格好いいよ?木兎。』
そう言えばしょぼくれ木兎は気持ちが向上したらしくにかり、笑う。
「美優、ありがとーな?飯食うぞー!ヘイヘイヘーイ‼︎」
笑いながら食事をはじめた木兎から離れ席へ戻ると赤葦が小さくぺこりと会釈をした。
「それにしてもよくシミ抜きの方法なんて知ってましたね?」
食事を再開した私に向かって聞くのは蛍。
『ああ、だってリエーフがよくやるんだもの。醤油とかケチャップとか。』
あまりにもよくやるものだから落とし方だったり、シミが残った時の隠し方とか覚えちゃったよね。
話を聞いていた蛍、赤葦、クロ、莉奈ちゃんはああ…とリエーフを見る。
ご飯を頬張っていたリエーフは不思議そうにみんなを見た。
『リエーフ、気にしなくていいよ。食べよう?』
リエーフに食事を促すと私も黙々と食事を取り始めた。