第16章 今年も夏休みはおわらないっ! 〜今年も大集合!1日目移動編〜
港北パーキングエリアを出発し、私とリエーフが先ほど買ったパンを袋から取り出していると、莉奈ちゃんが羨ましそうに私達の方を見つめる。
「私も食べたかったのに…てつろーさんにお昼食べれなくなるからって止められたんです…」
『私の半分食べる?私も全部食べたらお昼入らなくなっちゃうし。』
そう言い私は紅茶のシフォンを半分にすると助手席の莉奈ちゃんに渡した。
「ありがとうございます!いただきます。」
ぱくりと口にシフォンを放り込んだ莉奈ちゃんは嬉しそうに笑う。
私も…と思ったらまたもや隣からの視線。
私は食べようとしたシフォンを一口分千切り(といってもリエーフは一口が大きいから半分に分けたんだけれど…)リエーフの口に放り込んだ。
途端に笑顔になるリエーフ。
リエーフがもぐもぐしてる間にカレースティックパンを差し出されたから私は遠慮なくかじりつく。
甘すぎない本格的なカレーが詰まったパンは生地にもカレーが練りこまれているらしく、カレーの風味がたまらなく美味しい。
きっと顔に出ていたのだろう。
リエーフは私の顔を見るとそっと耳元に近づいた。
「美優さんの食べてるときの顔、好きです。」
ぽそり、伝えて離れたリエーフ。
リエーフが幸せそうに笑うから、私も嬉しくて笑った。
ーーーーーー
パーキングエリアから車で約40分。
有料道路を抜け一般道に入った
そこからは左側一面が海!
見た目は岩壁に打ち寄せる波って感じではあるけれど、それでも目の前の海に興奮を隠せない。
興奮しているのは私だけではない。
莉奈ちゃんもリエーフも左の窓に釘付けだ。
「てつろーさん!海!海です!」
「おう。ちゃんと見えてるから心配すんなって。」
「美優さん海ー!」
『すごいね…視界の端から端まで海だよ。』
きらきら光る海に視線を離せずにいると私のスマホに着信が入った。
『もしもし?』
「美優さん、この後のルートの確認がしたくて連絡しました。」
そう言うのは赤葦。
私はすかさずリエーフに地図アプリを開かせルートの確認をする。
「海抜けたら一回止まるかー?」
そう言うクロのために止まれる場所を探せば、かなり先にはなるけれど熱海駅を過ぎたあたりに駐車場のある公園を発見。
そのことを伝えれば、ルートの最終確認のためにそこに止まることに決定。
公園の名前を伝え、電話を切った。