第14章 【番外編】それぞれのデート 黒猫&三毛猫編
side莉奈
そんなことがあったのでしばらく私は料理禁止令が出された。
てつろーさんがご飯を作ってくれている間に、ショップバッグから本日購入した洋服などを出し、タグを切ってスーツケースに詰める。
そんなことをやっているうちにキッチンからは良い匂いが漂ってきた。
ある程度片付け終わったので、スーツケースを閉じ、壁際に寄せると私はキッチンへ向かった。
「てつろーさん。こっちは終わったよ?机も出してる。」
「おう。後は…ほら。」
ぱかりと開けられたフライパンにはじゅうじゅうと音を立てて焼かれる餃子。
ふわりと鼻をくすぐる香ばしい香りにお腹がなりそう。
「ニラとかにんにく入れてねーから食べた後キスし放題だぜ?」
そう笑うてつろーさん。
…って。
「餃子も手作り⁈」
「ああ。餡は前作ったのが冷凍にあったから、解凍して包んで焼いただけ。」
いやいやいや…
主婦力高すぎ…
「ほら、ぼーっとしてんなよー。これ持ってけ。」
そう言って渡される2つのラーメン。
慌てて運んで戻れば、次はチャーハン。
お箸とレンゲと小皿を渡され席に着けば、お茶のペットボトルとグラス、そして餃子を持っててつろーさんがやってきた。
調味料はキッチンとは別に棚の中にあるのを最近知った。
それが入ったカゴを引き出し机の横にセットすると改めてご飯に向き合った。
「じゃあ食うか。」
「てつろーさん、美味しいご飯をありがとーございまーす!いただきまーす。」
「はいよ。」
熱々のラーメンにパラパラチャーハン。
ぱりっぱりの餃子。
さいっこーに美味しいですっ!
不意にてつろーさんが私に手を伸ばす。
その手を凝視していれば、てつろーさんはくすりと笑って私の頬に一瞬触れた。
「ご飯粒。んなにうめーか?」
「ん…美味しいです。」
「ならよかった。」
そう言いながらてつろーさんは先ほどまで私の頬についていたご飯粒をぱくり、口に放り込んだ。
こういうこと、平気でやっちゃうんだもん。
恥ずかしいな。
でも、やっぱりすき…です。