第14章 【番外編】それぞれのデート 黒猫&三毛猫編
side莉奈
そう。
あれは夏休みに入ってすぐの日曜日。
私はてつろーさんに誘われて、てつろーさんの家に泊まりに行ったの。
さすがに今回は何かしなきゃ!とお風呂掃除や洗濯物たたみとか、できることはやった。
そして、朝。
これくらいならできる!と息巻いて行った朝食作り。
付け合わせのブロッコリーは冷凍だから電子レンジで加熱。
ウインナーを焼いて、目玉焼き…
うん。
目玉焼き焼きすぎてがっちがち。
そして、水入れること知らなくてフライパンに白身がべっとりくっついちゃって剥がすのに一苦労…
てつろーさんはそんな私の目玉焼きを見てぶひゃひゃと変な笑い声をあげた。
その後、私はキッチンから一時避難。
その間にてつろーさんは焦げ付いたフライパンを綺麗にし、野菜たっぷりのポトフを作ってくれた。
「ずるい…」
そう呟いた私。
てつろーさんはなんでもできてずるい。
そう言った私に、てつろーさんは一冊のノートを見せてくれた。
1ページ1ページ手書きの料理本。
簡単な卵料理からお肉料理、魚料理。
果ては凝ったハンバーグやらビーフシチューなど、たくさんの料理がポイントや仕込みのタイミング、コツなどを細かく書いたもの。
「俺だってこれ頼りなんだぜ?美優特製のレシピ本。」
そう。
それは、一人暮らしを始めるてつろーさんが美優さんにお願いして作ってもらったっていうレシピ本だった。
(ねこわん‼︎ 第8章より)
内容がすごくわかりやすくて、普通に読み込んでしまった。
だけど、レシピには主婦の時短料理みたいなのが多くて私がてつろーさんに作ってあげたいような料理は少なかった。
だから今度作りたい料理を教えてもらえるように頼んだってわけ。
「莉奈の料理、次は期待してる。」
そう言って笑うてつろーさん。
失敗も笑ってくれることにすごくうれしさを感じたの。
本当、私、てつろーさんが彼氏でよかったって思えた。